歯科の吸血鬼 2022.03.26 こんにちは。稲毛駅前 千葉総合歯科稲毛 矯正歯科・予防ケアクリニック 歯科衛生士の伊藤です。みなさん。歯周病に関わるとても怖い菌をご存知でしょうか。歯周病は歯肉の腫れや出血にはじまり、歯を支えている骨が溶かされると、歯を失ってしまう可能性のある病気です。歯周病はお口に中に生息する“歯周病菌”の感染によって発症します。歯周病菌の中でも、極悪御三家と言われている菌があります。P.g.菌(Porphyromonas gingivalis)T.f.菌(Tannerella forsythensis)T.d.菌(Treponema denticola)3つの中でもボス格と言われるのが、Pg菌(ポルフィロモナスジンジバリス)です。このPg菌は歯周病を引き起こすだけでなく、全身にも悪影響を与えることが明らかになってきました。この菌は糖尿病、認知症、動脈硬化、関節リウマチなどの病気と深く関係しているとの報告があるのです。今回はこの最強の歯周病菌であるPg菌についてお話ししたいと思います。Pg菌は吸血鬼のように血液をエサにしています。吸血鬼は日光が苦手なようにPg菌は酸素が苦手なのです。Pg菌は、どこから感染するのかまだわかっていません。歯周病でない口腔からもPg菌が検出されるようになりました。この菌に感染した場合でも、この菌は細々と弱々しく生きています。体に害を与えることもあまりありません。ところが、お口の中が不潔になると、いろいろな細菌が歯に付着し始め、細菌は住みやすい環境を作るため細菌同盟を結び歯に強固に付着してきます。ある量に達すると、歯に接している歯肉に炎症が起こり歯肉の内面がやられて血が出るようになってくると状況は一変します。密かに細菌同盟に参加していた少数派のPg 菌は血液を得ると、数百倍から数万倍まで数が増えてしまいます。血液が大好物なのです。そして、骨を破壊し歯周ポケットという歯と歯肉の間の溝をどんどん深くしていきます。その溝の深さが4mm以上になると溝の奥の酸素が減ってきます。酸素が苦手なPg菌はますます元気になり増殖してしまいます。一方で、体の側も黙っていません。あらゆる手段を使ってPg菌を攻撃し排除します。しかしその結果、自ら顎の骨を溶かしてしまうことになります。 これが、歯周病です。 歯周病を予防するためには、Pg菌に血液というエサを与えず、酸素のない住家を与えないようにしなければなりません。まずは、Pg菌の住家を知るために歯周病検査を受ける必要があります。歯肉のどの部位から出血があるか、4mm以上の歯周ポケットがどこにあるかを調べます。そして毎日のセルフケアと歯科医院での専門的クリーニングによって出血と4mm以上の歯周ポケットをなくします。これによりPg菌はおとなしくなります。しかし吸血鬼は居なくなる訳ではなく、息をひそめて暴れだす機会を待っているのです。その機会を与えないためにも歯科医院での定期検診がとても大事なのです。新年度が始まる前に歯科医院でお口のクリーニングをして気持ちのいい笑顔で頑張りましょう!スタッフ一同心よりお待ちしております。 < 予防歯科について災害時の口腔ケア > ブログ記事一覧をみる