こんにちは。千葉総合歯科稲毛 矯正歯科・予防ケアクリニック 歯科医師の阿部です。
咲き誇っていた桜も早いもので葉桜の時期となりました。皆様、お健やかにお過ごしでしょうか。
歯科医師になり10年近く経ちますが、最近酸蝕症の患者さんが多いように感じています。
みなさん酸蝕症という言葉を聞いたことがありますか?
今回は酸蝕症についてお話ししたいと思います。
う蝕(虫歯)、歯周病に続く第3の疾患としてTooth wearというものがあります。
Tooth wearには咬耗(歯と歯の接触によるすり減り)、摩耗(歯以外の物理的な方法によるすり減り)、アブフラクション(過度な咬合力により歯の根本にストレスが集中し生じる歯の崩壊)、酸蝕症(細菌の関与がない酸による化学的な歯質の溶解)というものがありますが、このうち食生活を中心とした生活習慣が反映されるのは酸蝕症です。
欧米諸国では広く認知されているそうですが、我が国における認知度はまだまだ低いようです。
酸蝕症の病因は内因性のものと外因性のものに分類されます。
内因性の主な病因は塩酸からなる胃液の影響が考えられています。胃液のpHは1~2と強酸で口のなかに逆流することで、歯が溶けてしまいます。
具体的な疾患として
- 逆流性食道炎
- 拒食症
- アルコール中毒
- 摂食障害
等があります。
次に外因性因子として職業性因子ならびに非職業性因子(酸性飲食物、薬物)に由来する酸があげられます。
かつてはメッキ工場などにおける酸性ガスの吸引による職業因子が主たる原因であったが、最近では食生活習慣の変化に伴い酸性飲食物の過剰摂取が主流と考えられています。
ある研究では市販飲料水120種類のうち73%のものが歯のエナメル質を溶かしてしまうpHだったと報告しています。
主なものに炭酸飲料はもちろんのこと、黒酢、ポカリスエット、赤ワイン、オレンジジュース等も含まれており、頻繁な摂取には注意が必要です。
この酸蝕症ですが、2014年の研究では国内の15歳〜89歳を対象にした調査の結果で26.1%と4人に1人の方が罹患しているということがわかっています。
最後になりますが酸性の飲食物の中には健康に良いと言われているものも多く、全てを控えるというわけにもいかないと思いますので、
1、酸性の飲食物を口にしたあとは、水で口をゆすぐ
- 酸性飲食物をダラダラ飲んだり食べたりしない
3、寝る前には酸性飲食物を避ける
などの対策をとっていただけると良いかと思います。
お口にトラブルが起きてからでは遅いです。予防や早期発見につながるためにも、日頃から定期的に検診をおすすめします。
スタッフ一同、ご来院お待ちしております。