インプラントにフッ素は使って良いの? 2021.05.12 こんにちはJR 稲毛駅前 千葉総合歯科稲毛 矯正歯科・予防ケアクリニック 歯科衛生士の宮内です。コロナが治まる気配の見えないなか、マスクはまだまだ手放せそうにありませんね。マスク装着中は気づかずに口呼吸になりやすく、歯や歯肉が乾燥し、虫歯や歯周病のリスクが高まります。セルフケアは一層気が抜けません。今回は、インプラントのセルフケアについてお話させていただきます。お口の中にインプラントがある場合、フッ素入り歯磨き粉を使ってはいけないという事を聞いた事があるかもしれません。フッ素は、インプラントの材料であるチタンの物理的性質劣化、表面の粗造感と歯垢付着量増加、それに伴うインプラント周囲炎の増加のリスクがあるとされ、一時期フッ素はインプラントに使用してはいけないとされてきました。しかし、この結果は実験室での研究に基づくものであり、人の口腔内を対象として疫学調査されたものではないとわかりました。確かに、高濃度・低PHのフッ素はチタンを腐蝕させるリスクはありますが、市販の歯磨き粉のフッ素濃度の上限は1500ppm、実際の口腔内では唾液での稀釈や緩衝能で、濃度は数十ppmまで下がると言われています。PHも市販の歯磨き粉に配合されるフッ素は、PH7前後で中性です。平成27年、日本口腔衛生学会フッ化物応用委員会が、「フッ化物配合歯磨剤の利用はチタン製歯科材料使用者にも推奨すべきである」という見解をだしました。同学会によると、フッ化物配合歯磨剤はむしろチタンへの虫歯菌付着を抑制している天然歯のフッ化物虫歯抑制効果は証明されているとし、インプラント以外の健康な歯を守るためにフッ素入り歯みがき粉を積極的に使用していきましょうという事になりました。インプラントが日本以上に広く普及している欧米では水道水へのフッ素添加が一般的ですが、水道水のフッ素添加がインプラントの材質劣化を促進しているということは報告されていません。これらの事から、インプラント装着後もフッ素入り歯磨き粉を使って問題ないと言えるでしょう。ただし、歯科医院でのフッ素塗布に使用する、リン酸酸性フッ化ナトリウムというフッ化物は、フッ素濃度9000ppm、酸性のため、チタン腐蝕リスクがありインプラントには使用出来ません。こちらは高濃度ですので、一般に市販されている事はなく、歯科医療従事者が適切な使用方法を守って使用していますので、インプラントのある方に使用する事はないのでご安心下さい。ただ、歯磨き粉を選ぶ際に注意して頂きたいのは、インプラントがある場合は粒入り歯みがき粉は使用しないほうがよいでしょう。粒がインプラントの細部に入り込み、炎症を引き起こす可能性があります。歯磨き粉を選ぶ際は、フッ素入りで、必要以上に表面を傷つけることのない低研磨のものを選ぶようにしましょう。インプラントの事やセルフケア製品の事、何か分からないことや気になる事がありましたら、お気軽に歯科医師やスタッフにお尋ね下さい。スタッフ一同、患者さんのご来院を心よりお待ちしております。 < フッ化物洗口液とフッ化物ジェルどちらがう蝕予防に有効か舌に生じる疾患について > ブログ記事一覧をみる